2012年2月20日月曜日

バナジウム媒染

植物成分(ポリフェノールの1種)とバナジウムで
従来植物染色ではなかった耐光性の高いブラックを実現しました!
白い糸は染めていない糸、色糸はバナジウムを使って発色させた糸を使用。
バナジウム濃度を高くしていくと緑から黒になります。
最大で2%のバナジウム溶液で媒染しました。

バナジウム媒染液(青)&染色前後のウール

<たて黒糸×よこ白糸の綾織> 
密度は11本/1cm。

<たて黒糸×よこ黒糸の綾織>


 従来、植物染料による黒では染料を20%、媒染金属を5~10%も必要とし、それでも濃黒は得られず光で色分解が起きてしまいます。
こちらは染料2%、バナジウム2%で仕上げたストールです。
約1週間分の太陽光に相当する光照射でも色変化がありませんでした。
1年など長いスパンでの耐光堅ろう度については今後調べていきたいと思います。
当産地には黒を基調とした「a un tonnbo:あうんとんぼ」というブランドがあります。これらはおもに化学染料の黒ですので、a un tonnboに植染バージョンが加えられるように今後も実験を続けていきたいと思います。
植染+バナジウム→富士山地域を連想できるようなPRを考えていきたいと思います。

 

~~~~~~~~~~おまけ~~~~~~~~~~


今回ストールに織りあげていただいた西桂町の「織元 東邦シルク」さんの甲斐犬「トラ」
見事なKAIブラックです。トラの黒さに近づくように、シケンによる条件検討を重ねたいと思います。
(上垣)