2013年5月30日木曜日

evam eva(エヴァム・エヴァ)とSIWA(紙和)の生まれた街へ!(part1)

ヤマナシ発・先進ブランド事例に学ぶブランディング~企業訪問編(part1)

5月9日(木)、産地の機屋さんたち&鈴木客員研究員とともに、市川三郷町へ。

企業訪問&勉強会に行ってきました!

ブランドづくりを学ぶセミナーと連動して、その会社の現場からも学ぼう!と企画した今回のツアー。
ヤマナシを代表するものづくりブランド、「evam eva」の近藤ニット㈱と「SIWA」の㈱大直。
この2つ素敵なブランドは、偶然にも、同じ町で育まれたのです。

2社がある市川三郷町は、甲府市の少し南、笛吹川と釜無川が合流するあたり。
美しい川とおだやかな緑にかこまれた町です。
当日は、まさに遠足日和!という晴天。





はじめに、近藤ニット(株)へ。
4月にシケンジョで開催したセミナーでも貴重なお話を聞かせていただいた、
近藤和也さん、尚子さんご夫妻が迎えてくださいました。

会社の中を見学させていただく前に、
OEMから自社ブランドが成長していく段階で、会社や工場の現場がどのように変わってきたか?をお話いただきました。

近藤尚子さん、和也さんご夫妻
ハタヤさんたちも、ニットの現場を見せていただくのは初めて。
近いようで遠い織物とニットの世界。貴重な機会に興味津々、真剣な表情です。

はじめに案内していただいたのは、evam eva の世界観を垣間見られる、サンプルルーム。
商品の撮影ができるように、部屋の一面には真っ白な壁と床の空間が。
すべて手作りで、知り合いの方と一緒に作りあげたとのこと。
写真はNGでしたが、新しいシーズンに向けて、インスピレーションのもととなる色やビジュアルが集められた大切な一角も。
ブランドのイメージそのままの、心地よい空気が流れる空間でした。

1階の工場へ。
こちらは工場の中にあるニットを編むためのデータを作成する部屋。
ここで編み方や形状のデータが作成され、編み機へと送られていきます。

織物でも柄のデータを作成しますが、ニットのプログラムは初めて見るとあって、
ハタヤさんからの質問が飛び交います。

各シーズンの商品企画の過程では、
糸の種類や編み方を変えたサンプルをたくさん試作して、イメージにあう風合いを追及していくそうです。

編機が並ぶ工場。ここで、evam evaのニットが編まれていきます。
ブランドを立ち上げてから、より多くの種類の糸を編めるように新しい設備も導入されたそうです。

様々な天然素材の糸たち。ニットと聞くともっと太い糸を想像していたのですが、細い糸もたくさん。
ナチュラルな中でも少しずつ違う、繊細な色のバリエーションに、evamevaらしさを感じます。

服のかたちで出てくる!と驚いてしまう、無縫製の編み機。



編みあがったニットに、キズなどがないか、1点ずつ検品が行われています。
ブランドの品質をささえる、人の目による大切な工程です。

そして、不思議な形状に注目が集まっていたこちらは・・
ニットの袖の部分を見るためのものだそうで、内側からライトが光るようになっています。


 パッ! 


こんな感じで袖をとおしてチェックすると、確かに見やすい。
皆さんのあまりの注目に尚子さんは驚かれた様子。
昔からある物だそうですが、ニットならではの工夫から生まれた形状がユーモラスに見えました。

編み機の並ぶ部屋の隣、縫製の部屋へ。
ここでは、編みあがったパーツの縫製や、ニット以外の布帛(織物)生地の縫製も行われています。


工場で働くみなさんが若いことにも驚きました。
鈴木客員研究員も「縫製でこんなに若い人が多い工場は珍しい」と驚くほど。この会社で働きたい、という強い意欲のある人を採用して、育てているそうです。

こちらは編み上がったパーツをつないでいくリンキングの工程。
1点1点手作業で行われていることに驚きました。正確に手早く進む様子をじーっと見つめてしまいます。

洋服の生地をパターンにあわせてカットする機械。
パターンのデータからそのまま、一着分が正確に切り出されていきます。
以前は裁断を外注していたそうですが、ブランドの成長に合わせて布帛の服も増えたため、
社内でできるようにと導入されたそう。

工場の2階には、企画デザインと販売の部門が広いフロアを共有。
ウェブの運営、各店舗との情報共有や在庫管理もここで行われています。

セミナーでもお話にあったとおり、以前は東京にあった企画部門を数年前に山梨へ移転。
山梨へ引っ越してこちらで暮らしたい、という社員の方も一緒に移られたそうです。

見学後にも、質疑の時間をいただきました。

 「市場のリサーチやトレンドを追うことではなく、
インスピレーションのもとは、この山梨の、この環境、身の回りのこと、暮らし。
そこにアンテナを張って自分が感じることから、ものづくりをしています。」
という尚子さんの言葉が印象的でした。

現場を見学して一番感じたことは、
経営、企画デザインと、ものづくりの現場がひとつになっていることの強みでした。

素材そのものを追及できるからこその、シンプルな服づくり。
山梨の自然のある環境、社員の皆さんと、工場とともにある、その場所からデザインが生まれていること。
店舗と情報共有しながら、かたちや素材をすぐに試せる、工場、企画、店舗の距離感。
現場のすみずみまでを知り、ブランドの成長にあわせて工場や売場を変えていく決断の大切さ。

ブランドの根っこにある大切なことを、たくさん感じられた会社見学でした。


見学を快く受け入れてくださり、丁寧にお話をきかせていただいた近藤さんご夫妻、
お仕事中にもかかわらず、にこやかに質問に答えてくださった社員の皆さん、
本当にありがとうございました!

そして、近藤ニットさんをあとにした一行は一路(といっても車で3分くらい)、大直さんへ。
そのレポートは次回をお楽しみに。。

(秋本)