2013年6月5日水曜日

evam eva(エヴァム・エヴァ)とSIWA(紙和)の生まれた街へ!(part2)

…市川三郷町、訪問記の第2弾です!
近藤ニット(株)を後にした一行は、「SIWA」ブランドを手がける(株)大直へ。


6月6日(木)にシケンジョで開催予定のセミナーに先駆けて、
社長さんからSIWAが誕生する以前の、会社の歩みを伺いました。



産地の歴史から、ルーツを辿ってお話いただいた一瀬美教社長。


(株)大直のある市川三郷町(旧・市川大門)は、約1,000年以上前、奈良時代からの歴史ある和紙の産地です。

「市川大門の紙は、江戸時代には、「肌吉紙」(美人の素肌のように美しい、という例えから)と呼ばれ、幕府へ御用紙として献上されるほどのブランド紙の産地でした。多いときには、300軒近くの紙屋さんがあったようです。」


明治以降、和紙の需要は減少し、昭和30年代には、市川大門は「手漉き」から「機械漉き」の産地へと大きく転換します。
高度経済成長の時代、市川大門は、主に障子紙の産地として発展していきます。

「当時はとにかく障子紙の営業に力を入れていて、作るほうにはあまり熱心ではありませんでした。」

一瀬社長が会社に入り営業を担当していたころ、市川大門は障子紙の高いシェアを持っていたものの、土佐や美濃といった他の産地も競合しており、需要が減少していくなかで同じ営業をしていては生き残れない、と危機感を感じていたそうです。

「ちょうどその頃、ホームセンターの第一号がオープンした、という記事を読み、すぐに営業に行きました。」

障子紙の流通はその後ホームセンターが主流となり、転換点をいち早く見極めた(株)大直は、全国でもトップのシェアを誇る障子紙メーカーとなります。

社内にあるショールーム。見ているだけで楽しくなる和紙製品が並んでいます。

障子紙メーカーとして会社の基盤が固まったことで、新しいチャレンジとして自社の和紙製品づくりがスタートしました。

「和紙の産地として、障子紙だけを柱としていくことに、先々への不安を感じていました。また、東京の売り場で様々な和紙製品を見る度に、私たちであればもっとこんなものが作れる、自分たちなりのものを作りたい、とずっと思っていました。」


社長の奥様である専務が、元々東京でファッション関連の仕事をされていたこともあり、専務が中心となって和紙製品の商品企画がスタートします。



「めでたや」の定番、張り子たち。ほっこりする表情が魅力的です。

「市場を見るとステーショナリーの分野で和紙製品が多く出回っていましたが、自社はリビングの分野で扱ってもらえるものをつくりたい、と考えていました。」
 

和紙のロールスクリーン等を開発し、ギフトショー(当時はまだビックサイトではなく池袋文化会館)に初出展、最初の出展で500枚以上の名刺が集まり、取引先も増えていきました。

「ギフトショーに出展することで百貨店等からも声をかけていただき、売り場はいただいたのですが、継続的に売っていく、ということが課題になりました。和紙製品で、いつも新しいものを売り場に提案していくにはどうするか?ということを考えて、日本の生活の基本にある、四季の伝統行事と、季節感にそったものづくりをしていこう、と決めました。」



小さいなかに、ぎゅっとこだわりが詰まっている「めでたや」の商品。
季節にあわせて部屋に飾ってみたいものばかり。

和紙製品のブランド「めでたや」の事業部はこのように始まり、現在では会社の売り上げの約半分を支えるまでに成長しています。



「企画をするのは楽しいことですが、それを実際に商品にするためにどう作っていくか?そこが大変なところです。でも、簡単に作れるものではなく、こだわって企画したものを、何とか強引に作り続けてきたことが、結果的に良かったと思っています。思い返してみると、大変な冒険をしたなぁ、と思うこともありますが。」


お正月に大人気の干支の商品。ひとつひとつ手作りなので、微妙に表情が違います。



ショールームの上には、茶室が!日本の行事や季節感を大切にする、(株)大直さんならではの空間。




「めでたや」では、インテリアから、祝儀袋や和紙シール等のステーショナリーまで、たくさんのラインナップがあり、年に4回、季節ごとに新商品を出されています。

社長さんと、SIWAプロデューサーの一瀬 愛さん
ショールームには、もちろんSIWAのコーナーも


とても穏やかにお話していただいた一瀬社長。
流通や売り場の変化をつかみ、産地の和紙メーカーとしていち早く、新しいチャレンジを続けられてきた経験の積み重ねが、SIWAブランドへとつながっています。

6月6日(木)には、SIWAブランドのプロデューサーである一瀬愛さんに、シケンジョセミナーでたっぷりとお話いただきます!

セミナーのレポートをお楽しみに。。

(秋本)