2013年9月27日金曜日

甲斐絹ミュージアムより #5/84年後に甦った甲斐絹

以前、「Found MUJIに甲斐絹柄のほぐし織が登場!」

…で紹介したほぐし織りの
FoundMUJI商品

ヤマナシにやってきたので、(というかシケンジョスタッフが私物として購入し持ち帰ってきたので)
元になった甲斐絹の現物とのツーショットを撮影しました。







オリジナルからの柄おこしはシケンジョ、
テキスタイル企画・配色はFoundMUJI、

織りは舟久保織物、
のコラボ企画で生まれました。


昭和4年のデザインが、84年後の平成25年によみがえったスペシャル商品です!

FoundMUJIのHPでもこのほぐし織の紹介ページがありますので、ぜひご覧ください!

また2013年9月19日放送のカンブリア宮殿、

「『経営にまぐれなし!成果を出す仕組みのつくり方』
~赤字38億円からの経営改革の全貌!~
良品計画 会長 松井 忠三(まつい・ただみつ) 氏」

でも、その製造風景などが紹介されました。
ご覧になった方も多いのではないでしょうか?




下は店頭に展示してあった同じ柄の傘。
人気だったそうですが、まだ商品化には至っていません。

いつか販売してもらいたいものです。


ところで、この商品のように
甲斐絹ミュージアムにある甲斐絹の柄を商品等に使用したい方には、
シケンジョでスキャンした画像を提供することができます。


申請書や報告書をいただいて書面の審査を受けること、

甲斐絹柄であることやシケンジョ(富士工業技術センター)所蔵であることを
表示していただくことなど、
いくつかの条件をクリアすればOKです。

(審査では山梨で製造するなど、なんらかの山梨との関り、必然性、公益性などが求められます)
 

ご興味のある方は、お問い合わせを!



(五十嵐)


2013年9月26日木曜日

都留工業交流展に展示

 
平成25年9月26日(木)~28日(土)AM9:30-PM6:00(初日AM11:00~、最終日~PM16:00迄)
 
都留市まちづくり交流センター4F大ホール
 
「都留工業交流展」にシケンジョブースを設営してまいりました。
 
背景の写真達は、シケンジョの機械電子部ゾーンのメカ達(設営2時間前にパシャパシャ撮影)&ブログ「シケンジョテキ」でもご紹介してきた繊維系写真達からピックアップしたものです。
 
今日から3日間、ぜひお立ち寄りください。
 



(上垣)

2013年9月25日水曜日

枕木風テキスタイル

新しいたて糸の試運転。

シケンジョ工場のハンガーコレクションズ枕木風テキスタイル~makuragitex~を追加しました。

作業時間1時間。

今回の紋(もん)データ(=織物の柄データ)を作る際はフリーテクスチャ素材を利用させてもらいました*。*後述

この他、テキスタイルにしたら面白そうな素材も沢山ありました。 

まずは完成版の写真から。

布を発砲スチロール材に張り付けてあります。







 上の2枚の写真は、ヨコ糸を替えた*もの。*研究で作製したバナジウム発色補助剤+ゴバイシ染色方法で染めた糸


派手な2枚の写真は、同じ枕木柄を使って、タテ糸を3色、ヨコ糸黒の収縮糸に替えてみたもの。 

***********************布を作るところの写真*********************

今回作製した「枕木風テキスタイル~makuragitex~(勝手に命名)」:写真は布です。

フリーテクスチャをシケンジョ特許技術を使った画像処理を施しました。

柄のエッジがシャープなクオリティの高い本格的テキスタイルを作るには、当然、時間と腕のいい職人さんの紋作製ノウハウが必要不可欠です。

が、この特許技術を用いると、とりあえず(私のような素人でも)画像から簡単に紋データに変換することができます。

応用範囲が広いのでユーザーによっては、びっくりするほど凝ったテキスタイルが生まれるかもしれません。

こちらの写真は画像です。

このジャカード織機で作製。

その他諸々、面白テキスタイルを展示してありますので、ご興味のある方はシケンジョまで!

(上垣)











緑に染色した繊維上の微量バナジウムを測る


今日は、微量バナジウム水溶液で緑に発色させた繊維(ウール)について実験しました。

新しい方法であるため未知の部分も多く、例えば今後産地企業さんによるプロデュースによるストールやマフラーの開発を考えていますが、それらの皮膚刺激性について調べていく予定です。

そこで、今回は皮膚刺激性試験をするための2種類の繊維(バナジウム付着量の多そうな繊維と少なそうな繊維)を作製し、ICP-AES(誘導結合プラズマ発光分光分析法)という方法*で、繊維に残留している微量のバナジウム量を測定しました。*甲府市工業技術センターの分析装置を利用させてもらいました。

バナジウム水溶液で染色して緑色に発色させたウール。
透明な2本の液体は、バナジウム濃度がわかっている定量用の標準液。
  
まずは、硝酸で繊維(溶かした重量を予め測っておく)を完全に溶かします。

バナジウムも硝酸で溶けることになります。

局所排気装置の中で作業します。


 フィルターでろ過。

10倍等適宜希釈したものを測定します。

分析装置。

細いチューブが自動で吸い取っていきます。

溶けたバナジウム溶液は霧状にプラズマの中に吹き付けられて発光します。
いくつかの種類の光がでますが、今回は約309nmを検出しています。



結果、溶液中のバナジウム濃度が判明しました。

表中の%は測定の標準偏差で、サンプルナンバー3,4はそれぞれ1,2の10倍希釈です。

この値と事前に溶かした繊維重量(今回は約0.03g)から、残留したバナジウム量を算出すると・・。

濃い緑色の繊維に含まれるバナジウム:1.7 %
淡い緑色の繊維に含まれるバナジウム:0.2 %
であることがわかりました。

さまざまな色相・色彩の緑に発色するので、処理条件をまとめているところです。

(上垣)






2013年9月21日土曜日

甲斐絹ミュージアムより #4/甲斐絹展が始まります!

あしたの日曜(平成25年9月22日)から、 
都留市のミュージアム都留で「甲斐絹展」が開催されます。

シケンジョ所蔵資料からも甲斐絹11点ほか、資料等が展示される予定ですが、

そこでしか見られない貴重な資料、生地の数々が集められていて
シケンジョ的にも大注目のイベント!
ヤマナシにお越しの方、お近くの方は必見です!


 『甲斐絹展』
*会期 : 平成25年9月22日(日)~10月27日(日)
*会場 : ミュージアム都留(〒402-0053 都留市上谷1-5-1 tel:0554-45-8008)
オフィシャルサイト


ここでは甲斐絹ミュージアムから、甲斐絹展で展示予定の逸品を
チラ見せしたいと思います。
(本物はミュージアム都留で是非!)



まずは基本の無地甲斐絹。




地味な色、 無地、平織りでありながら、妖しい光沢が魅力です。
無撚り、先練りという、手仕事でなければ出来ない織り。



下はタテ糸がほぐし織、ヨコ糸には絣糸を使い、さらにタテ糸の一部の密度を高くしてサテンのストライプを入れたもの。
甲斐絹お得意の「合わせ技」の作品。




次は、富士山柄。つづけて3点どうぞ。




下は絣甲斐絹の逸品。タテ糸の縞組がオンブレーになっていて、
しかもヨコ糸の絣柄と連動しています。



この下は縞柄、格子柄。
一番下は高配甲斐絹と呼ばれ、太番手のタテ糸で立体的なピンストライプになっています。





最後は謎の柄2点。

何かに向かって両手をつく侍と…
燃える蝶と千鳥。 これらが一体なにを意味するのか? 続きは都留で!




くどいようですが、本物はミュージアム都留で是非。

実物はずっと迫力があります!



 『甲斐絹展』
*会期 : 平成25年9月22日(日)~10月27日(日)
*会場 : ミュージアム都留(〒402-0053 都留市上谷1-5-1 tel:0554-45-8008)
オフィシャルサイトはこちら

 

(五十嵐)


2013年9月20日金曜日

rooms27出展!/「地場産」 山梨エリアレポート②

合同展示会rooms27(平成25年9月11日(水)~13日(金) 於:国立代々木競技場第一体育館)のレポート第2弾!

ヤマナシから9社が出展するエリアの10番目のブース。


そここそが、通称「シケンジョテキブース」、

『ヤマナシ ”シケンジョテキ”ハタオリ トラベル rooms edition』!


さっそくその様子をご覧ください。




これが…、ブースの全容です。

どうすれば自社商品・ブランドを良く見てもらえるか?」

を命題として組み立てられている他のブースに比較すると、

「ここは一体…??」


という要素が満載…。


このブースの使命は、クリエイティブのクオリティが高いroomsの中ではなかなか難しい、

足を止めてヤマナシの名前を記憶に刻んでもらうこと、
そして山梨エリアの各ブースを紹介してセットで覚えてもらうこと。

これを「シケンジョテキ」テーマで実現することを命題として

企画・プロデュースさせていただいました。


もしかしたらフィルターに引っかからなかった方にはノイズでしかなかったかもしれませんが、
興味深そうに吸い寄せられて来る方もそれなりに多く、
楽しんでいただけたのではないかと思います。(多分…)


それではブース内の各コーナーをご紹介していきましょう。





手前のエリアは、「ヤマナシ ハタオリ トラベル」の宣伝コーナー。
9月11日まで渋谷ヒカリエでも開催していた

ヤマナシ産地の自社ブランドユニット活動を、ミニマムサイズで再現。 


そして奥にそびえるのは、タテ糸で作られた富士山


タテ糸は富士登山で使われる金剛杖のスペシャル版「勇者の杖」に結び付けられ、
富士山の霊気を糸に伝えます(という設定…)。

 

仮にも「タテ糸」というからには、もちろん織ることができます。
これは原始的な手織りの技法で、「腰機(こしばた)」と呼ばれるものです。
ふつうは木や柱に縛りつけて織るところを、3つ並べて富士山の稜線に見立ててみました。

3つという数は、富士山古来の描き方、「三峰」に由来しています。



手織りに目覚めたか。シケンジョA研究員。



鶴の恩返し?


「『平織り』しか織れない仕組みのリジッド織機で、ジャカード柄を織る」の図。


このコーナーは、来場者も体験できる実演アトラクション。

「無料ハタオリ所」として一般開放されました。



ふだん自動織機を駆使するハタヤさんたちも織っていました!


もちろん来場者の方も!

写真はテキスタイル企画を長年され、いま産地の織物工場で働くKさん。
手織り初体験でムチャなジャカード柄に挑戦するツワモノです。



このコーナーは「シケンジョテキ」を冠しているので、このブログ「シケンジョテキ」のPRも
させてもらいました。




過去の人気投稿がそろいぶみです。
ここで紹介できるなんて、ありがたや。。。


そしてこちらは、織機の音を聴く試聴コーナー。



アナログ感たっぷりの年代物のシャトル織機、レピア織機の音を聴くには、
やはりアナログなテープレコーダーに限る!

カセットごとにちがう機屋さんの音が楽しめます。



この企画、じつはroomsの10日ほど前に「富士山ごえん会」という勉強会で聴講した
山梨県立大学の箕浦先生の発表が元になっています。

一般に「騒音」とされる産業の音でも、地域の生活を支え、

産地の生活空間の中に溶け込んだ織機の音は、
地域らしい音、生活の音であり、

地域固有の『音の風景』=『サウンドスケープ』として捉え、研究する価値がある、
というお話でした。


フィールド研究で集められた産地の人々の言葉は、とても味わいがあります。
いくつかここでご紹介させていただきます。


「9台全部動かしていても織機が1台でも止まったら,どの機が止まったかも,耳が覚えてしまって分かる。」

「どのような種類の織機で織っているとか,調子が狂っているとか,音を聞けばわかる」

「子供を工場へ入れて寝かしておいた。少しおぶって,寝ると,布団に寝かせた。工場が止まると,起きた。」

「お掃除でも洗濯でも,食事の用意でも,機をかけながらできる。でも機がとまってると,今度は家事ができなくなる。]



*引用元/参考文献 : 山梨県富士吉田市における織物産業音と生活文化
Soundscape of textile industry and local culture in Fujiyoshida city, Yamanashi prefecture
 

箕浦一哉・加藤志穂(山梨県立大学),日本サウンドスケープ協会研究発表会論文集,39-46,2011



そしてコチラ。バス停です。

 

11月12日(火)に開催する、ヤマナシ産地訪問バスツアーのバス停型POPです。

産地を旅しているような体験をしてもらうコンセプトの

催事「ヤマナシ ハタオリ トラベル」と同名異プロジェクト、
本当に産地を旅して作り手に出会ってもらうための、

もうひとつの「ヤマナシ ハタオリ トラベル」 です。

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ヤマナシ ハタオリ トラベル 秋の産地訪問バスツアー2013

期 日 平成25年11月12日(火)(日帰り) 
*時 間 10:00新宿発~21:45新宿着予定
*定 員 15名
*参加費 4,000円前後(昼食・夕食費)
*訪問先 
舟久保織物(harefune)、(有)テンジン(ALDIN)、(株)槙田商店 ほか
*対 象  ※基本的に産地企業の取引対象となり得る業界関係者及び

        出版・報道関係者等に限らせていただきます。
*募 集 10月15日(火)まで ※応募多数の場合は抽選となります。

*お申込みフォーム こちらから
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募集は来月15日(火)までです。ぜひご応募ください!





さて、こちらのコーナーは、ヤマナシ産地の特徴の一つである、
ジャカード織(の舞台裏)を紹介するコーナー!

写真の老人は、ジャカールさん。

ジョセフ・マリー・ジャカール[Joseph Marie Jacquard、(1752年7月7日 - 1834年8月7日)]。
ジャカード織機の発明家です。




いうまでもなく「ジャカード織機」というのは、
ジャカールさんの発明した織機、というのが由来です。


 

ちなみに、フランス語の「ジャカー=Jacquard」を英語読みすると、「ジャカー」。


つまり「ジャカー」は、英語訛りです。


さらに、日本人にとっては濁点がついた方がしっくりするからなのか、
「ジャード」と日本語訛り広まっているようです。


シケンジョテキでは、
世界的に見て使用頻度の高い「ジャカード」で統一しています。


さて、ジャカールさんの写真の後ろにあるのは、紋紙。
織機がタテ糸を操作する情報が記録された、最古のデータ記憶媒体といえます。
情報を記憶する機構として、後のコンピュータの発明にもつながりました。

後ろの紋紙には、織り情報ではなくて「富士山の絵」が記録されている特別版です。

そして、ジャカールさんの写真の下にあるのが3.5inchフロッピーディスク。
その隣の大きいのは8inchフロッピーディスク

いずれも博物館行きの代物と思われますが、ヤマナシ産地ではこのどれもが現役!
(さすがに8inchはふだん使われているわけではないですが、読める状態になっているということで)



そして下の写真は、シケンジョの初代所長、河口孝氏。

1905年(明治38年)から約30年間、産地の織物に西洋技術を導入・普及した方です。


周りにあるのは、シケンジョで使われてきた道具の数々。
産地とともに歩んできたシケンジョの100年以上の歴史が
とりあえず、雰囲気だけでも伝わればと。

(個々のツールは一部のテキスタイル専門家の方々に大ウケしていただきました)





そして冒頭で紹介した、富士山型の手織り装置。

3日間の会期中にどこまで富士山頂に近づけるか?という
裏ミッションもあったのですが、
最終日はこんな感じでした。







頂上どころか、5合目もまだ先…。


途中で富士山柄を織りだそう、とマニアックな路線に行ってしまったのが
原因ですが、これはこれで良かったはず!

何人もの方から、このアトラクション込みでのヤマナシ産地の催事をやったら、
という声もいただいております。


いずれ、あなたの街に出現するかもしれません…!






しかし、ブログテーマのブースをroomsに出展できるなど、
最初で最後かもしれません。
シケンジョテキ冥利に尽きる3日間でした。



 

本当にヤマナシ産地の知名度UPに貢献できているかも、
という実感を味わうことができた気がします。

rooms27のシケンジョテキブースに訪れていただいた方、
ありがとうございました!!

実現に協力いただいたハタヤさん達、
そしてシケンジョスタッフを鼓舞してステージを作ってくれたroomsの石塚さん、
本当にありがとうございました!



そう、最後にこちらもご紹介しないわけにはいかないですね。

あろうことか、rooms来場者全員に配布される会場ガイドマップに、
インタビュー記事を掲載していただきました!

富士山テーマのもととはいえ、

過分な待遇をいただき、誠にありがとうございました m(_ _)m
※シケンジョテキのPRと、バスツアーのご案内にピントを合わさせていただいております。



(おまけ)
この会場での手織りのアイデアは、

3月までシケンジョにいた高須賀活良君が
今年の夏の渡英中、日記替わりに織っていた
移動式の手織りのスタイルを見て
思いついたものです。
彼曰く、「日記を織る」という発想。
展示会の会場日誌替わりに使わせていただきました。
Thank you very much !!


 
(五十嵐)